二酸化塩素によるカイコ細胞質多角体病ウイルスの不活化

書誌事項

タイトル別名
  • ニサンカ エンソ ニ ヨル カイコ サイボウシツ タカクタイビョウ ウイルス ノ フカツカ

この論文をさがす

抄録

二酸化塩素は,各種病原体を殺菌する塩素系の無機化合物である。この薬剤が養蚕分野の消毒剤に使えるか検証するために,カイコ細胞質多角体病ウイルス(1.76×10 7 OBs/ml)の不活化条件を調べた。その結果,純粋な二酸化塩素によるウイルスの不活化は,濃度200 ppm(pH 2.87)で30分,500 ppm(pH 2.48)で15分,1,000 ppm(pH 2.21)で10分間の処理により達成された。一方,亜塩素酸ナトリウムの活性化で得られた二酸化塩素によるウイルスの不活化は,純粋な二酸化塩素に比べて劣り,原液の40倍希釈液(推定塩素濃度1,500 ppm)で30分間処理しても約半数のカイコにウイルス感染が認められた。また,いずれの二酸化塩素で多角体を処理しても多角体は溶解せずに固化するため,ウイルスの不活化は,BmNPVの場合と同様に,酸性条件下における多角体の難溶化に起因している可能性がある。多角体に包埋されているBmCPVの不活化が二酸化塩素によるものか,酸の強さによるものか,その両方の作用によるものか,今後,明らかにする必要がある。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ