2010年の北海道の特異的な気象がテンサイ収量および病害発生におよぼした影響

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  • 2010年の北海道の特異的な気象がテンサイ収量および病害発生におよぼした影響 : 「北海道における2010年猛暑による農作物の被害解析」報告書
  • 2010ネン ノ ホッカイドウ ノ トクイテキ ナ キショウ ガ テンサイ シュウリョウ オヨビ ビョウガイ ハッセイ ニ オヨボシタ エイキョウ

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2010年のテンサイ収量は, 1986年に糖分取引制度が開始されて四半世紀が経過する中で最低の根中糖分(15.3%)と産糖量(46.6万t)を記録した。低収量の要因は, 6月上旬まで続いた生育初期の低温(平年差-2℃)による生育遅延と,その後6月中旬以降から収穫期まで続いた高温(平年差+3℃)および多雨による褐斑病と黒根病を中心とする根腐症状の大規模な発生である。褐斑病および根腐症状の発生面積率(それぞれ80.5%および44.2%)および被害面積率(それぞれ33.6%および13.3%) は,ともに糖分取引制度開始以降最大であった。気象条件と収量の単相関分析の結果,多雨は根重を減少させる傾向にあり,また, 5月の多雨は根中糖分との聞に有意な負の相関が認められた。気温に関して, 6月までは根重との間に有意な正の相関が認められたが, 7月以降は根中糖分と強い負の相関が認められた。褐斑病および根腐症状の被害面積率との関係では, 6月までの多雨および7月以降の高温は褐斑病および根腐症状の被害を拡大させることが明らかとなった。特に7月を中心とする最低気温との相関が高く,この時期が高温に推移することで褐斑病および根腐症状の主因とされる黒根病の二次感染が繰り返されることで,両病害による被害が著しく拡大すると考えられた。以上,今回の解析において,特に最低気温と根中糖分および病害発生の関係が強く示されたことは興味深い。一方で,北農研で育成した複合病害抵抗性系統は, 2010年の低収年においても病害発生が少なく,安定した収量を示した。今後の環境変動や大規模化,省力・低コスト化の観点からも,複合病害抵抗性品種の利用拡大を真撃に検討する必要がある。

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