初期卵胞発育における卵子と莢膜細胞の細胞間ネットワーク

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  • Oocyte-thecal cell regulatory loop in the control of preantral follicle development

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抄録

卵胞を構成する卵子~顆粒膜細胞~莢膜細胞が織り成す細胞間ネットワークは,前胞状卵胞の発育を制御する重要なファクターの1つである。従来は卵子と顆粒膜細胞のパラクライン調節機構が精力的に研究されてきたが,卵子と莢膜細胞の間にも相互作用が存在し,前胞状卵胞の発育を制御している可能性がある。莢膜細胞層の出現は,前胞状卵胞の発育過程における重要な生理的イベントの1つである。卵子由来の増殖分化因子GDF9は,顆粒膜細胞におけるIGF-Iやkit ligandの産生を介して,莢膜細胞の分化と莢膜細胞層の形成を促進している可能性がある。卵子由来のGDF9はさらに,莢膜細胞のアンドロゲン産生を介して,顆粒膜細胞の増殖と前胞状卵胞の発育を制御すると推測される。卵子と莢膜細胞の細胞間ネットワークを解析することは,卵胞発育プロセスの理解を深めるだけでなく,多嚢胞性卵巣症候群の病態解明などにつながるかもしない。

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