ホウレンソウ(Spinacia oleracea)における硝酸塩・シュウ酸塩濃度の品種間差異評価およびその要因解析

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  • ホウレンソウ Spinacia oleracea ニ オケル ショウサンエン シュウ サンエン ノウド ノ ヒンシュ カン サイ ヒョウカ オヨビ ソノ ヨウイン カイセキ

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抄録

ホウレンソウは人間の健康に影響をおよぼすとされる硝酸塩とシュウ酸塩を含むことからこれらの低減化が求められる。そこで本研究では,雨よけハウスにおいて,まず4作(冬・春・夏・秋),同一の窒素施肥量で182品種を栽培したところ,硝酸塩濃度は作期を通じて基本的に一定だが,シュウ酸塩濃度は作期によって大きく変動することを明らかにした。また,栽培日数の品種間差異が最も大きい冬作において,硝酸塩濃度は栽培日数,有効積算温度,積算日射量,クロロフィル含有量に負の相関関係を,葉柄葉身比には正の相関関係を示し,シュウ酸塩濃度は逆の相関関係を示したことを明らかにした。次に窒素施用量と潅水量の影響を調べたところ,シュウ酸塩濃度については品種間差異が大きかったが,硝酸塩濃度は品種間だけでなく処理区にも有意差が認められた。次に固定品種とその改良品種について調べたところ,西洋系品種の硝酸塩濃度がより低く,シュウ酸塩濃度はより高いことが明らかになった。そこで東洋系の系統を片親にトップクロス検定を行ったところ,西洋系の品種を交雑すると硝酸塩濃度は低下するもののシュウ酸塩濃度は高まることが明らかになった。以上の結果から,追肥なしの基肥による雨よけハウスの土耕栽培で硝酸塩・シュウ酸塩を両方低減化するには,シュウ酸塩濃度の低い早生品種を用い,窒素施用量を減らすか栽培後期に十分な潅水を行うことで硝酸塩濃度を低下させる,という手段が有効である可能性が示された。

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