岩手県三陸町夏虫山高原における野生ジカ飼養施設の建設

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タイトル別名
  • Construction of feeding facilities for wild deer in Natsumushi-yama highland of Sanriku town, Iwate Prefecture
  • イワテケン サンリクチョウ ナツムシサン コウゲン ニ オケル ヤセイ ジカ シヨウ シセツ ノ ケンセツ

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抄録

三陸シカ牧場は岩手県三陸町の夏虫山高原に1986年に建設された。野生ジカは雑かん木,ササ,野草からなる牧野に生息しているが,その牧野周辺に造成された人工草地を採食のために頻繁に侵入する。シカの食害から草地を保全するために,三陸町は最初に捕獲施設を,次に飼養施設を建設することを決めた。飼養施設は省力作業な条件,特に効果的なシカ取扱と簡易な作業に基づいて設計され,1992年に建設された。その施設内のコンクリート床は種々の作業を効率良くし,ボロ出し作業が5つのパドックを通して一括で容易に行えるようにした。作業通路と鹿舎の間にある給飼槽には鋼製の回転バケットを配置した。また,小牧区のシカ群の行動観察が行われ,捕獲した13頭の体格を測定した。保定器はいくつかのシカの行動と体格値をもとに設計され,主に角材とシカを保定する2枚の12mm厚ベニヤ板で製作した。その木製保定器の資材価格は2万円未満の廉価であった。角材とコンパネを主材として15,500円で保定器を製作した。この保定器を用いたシカの保定実験から,保定器内のシカはさみ板の最小間隔が10cmのときに保定でき,この間隔はかん幅平均値7.8-8.3cmよりわずかに広めであった。さらに,関連して解体処理場や食肉加工施設,保養施設の建設について述べ,また現在の北海道と九州における野生ジカ対策についても論じた。

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