少花粉スギ・ヒノキ実用化に向けての研究

書誌事項

タイトル別名
  • Research on utilization of Cryptomeria japonica and Chamaecyparis obtusa with few male flowers
  • ショウ カフン スギ ・ ヒノキ ジツヨウカ ニ ムケテ ノ ケンキュウ

この論文をさがす

説明

花粉症対策として,花粉の少ないスギ及びヒノキ造林の普及に向けての研究を行った。2002~2008年度に開発された少花粉スギ10品種について,さし木による増殖方法を検討した結果,短穂(穂長10cm,3月中旬採穂,3~5℃冷蔵保管,4月下旬さしつけ,オキシベロン液剤4,000倍液(IBA 1ppm)24時間浸漬,温室,鹿沼土,自動潅水,電熱温床)での発根率は23.2~63.5%(平均36.0%),普通穂(穂長20~25cm,3月中旬採穂,3月中旬さしつけ,オキシベロン液剤4,000倍液(IBA 1ppm)24時間浸漬,ビニールトンネル,露地,鹿沼土,自動潅水,寒冷紗)での発根率は43.7~90.4%(平均69.3%),同じく長穂(穂長40cm,5月中旬採穂,5月中旬さしつけ,オキシベロン液剤6倍液(IBA 667ppm)90分浸漬,露地,練り土,寒冷紗)での発根率は6.7~60.0%(平均34.0%)であった。採穂台木の樹冠部を上部,中部及び下部に3等分し採穂したところ,下部からの採穂が,上部,中部より高い発根率を示した品種もあったが,全体的には有意な差は認められなかった。少花粉品種の精英樹次代検定林における樹高・肥大成長量を調査し岡山県林分収穫表の「地位中」の値と比較したところ,スギでは同値を上回わる品種(苫田21号(実生))と下回る品種(苫田13号(挿)等3品種)がみられたが,ヒノキは全ての品種で同値を上回っていた。少花粉ヒノキの雄花着花量について,「雄花着花性に関する特性調査要領」に基づき,所内採種園で調査したところ,非少花粉品種よりも雄花着花量は少なかったものの有意な差は認められなかった。同じく,雄花着花量を5カ所の精英樹次代検定林で調査したところ,同要領で定める指数1及び指数2の累積割合が50%を超えるものは,66.7%であった。

収録刊行物

  • 研究報告

    研究報告 (27), 17-31, 2011-12

    勝央町 (岡山県) : 岡山県農林水産総合センター森林研究所

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ