水稲新品種'さつま黒もち'の育成とその特性

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タイトル別名
  • Breeding of a Purple Grain Glutinous Rice Cultivar 'Satsumakuromochi'
  • スイトウ シン ヒンシュ'サツマクロ モチ'ノ イクセイ ト ソノ トクセイ

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抄録

水稲新品種'さつま黒もち'は,鹿児島県農業開発総合センターにおいて晩生,短粒種,紫黒糯を目標に,晩生で脱粒性難の「KG糯232」を母本,長粒種で中国由来の紫黒糯系統「関東糯182号」を父本として2002年に交配を行った組合せから選抜し,普通期栽培用晩生の紫黒米糯品種として育成した。2009年2月に鹿児島県の適品種に採用され,同年3月に品種登録を申請し,2011年8月に品種登録された。'さつま黒もち'は,'さつま雪もち'と比較して出穂期で8日,成熟期で4日遅い「晩生の晩」に属する。'さつま雪もち'に比べて稈長は8cm長く,穂数は少なく,一穂籾数は多い。草型は「偏穂重型」である。倒伏抵抗性は'さつま雪もち'並みの「強」である。脱粒性は'さつま雪もち'の「難」に比べて脱粒しやすい「やや難」である。'さつま雪もち'に比べて玄米千粒重が重いが,収量性はやや少ない。玄米の粒大は「さつま雪もち」に比べてやや大きい"やや大"である。玄米表面の果皮に機能性成分アントシアニンが蓄積して,玄米は黒色を呈する。一般の白米に本系統を5~10%混ぜることにより,炊飯米全体が赤紫色を呈し赤飯として利用できる。

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