保水シート耕のトマト一段密植栽培における夏季遮光の影響と果実糖度及び収量向上

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タイトル別名
  • Effect of Shading on summer and Improvement of Fruit Soluble Solids Content and Yield on single trass tomato in wet-sheet culture
  • ホスイ シートコウ ノ トマト イチダンミツショクサイバイ ニ オケル カキ シャコウ ノ エイキョウ ト カジツ トウド オヨビ シュウリョウ コウジョウ

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抄録

1 遮光が果実糖度,収量および定植から収穫までの日数等に及ぼす影響 遮光によって着果数は増加し,収量が向上した。しかし、遮光は果実糖度を低下することも明らかとなった。遮光率が20%と低い「明涼」を用いることで,果実糖度の低下を抑制できたが,作期によっては糖度7%を下回った。作期にかかわらず安定的に目標糖度7%以上を確保するために,栽培管理技術の組み合わせが必要である。2 栽培管理技術の評価(1)着果数と果房上葉数が果実糖度と収量に及ぼす影響 摘果による着果数の制限は,果実糖度に影響を及ぼさなかった。果房上葉数を増やしたことも果実糖度に影響を及ぼさなかった。しかし葉数が多いことは遮光効果によって裂果を防止したので,収量向上対策として有効であった。(2)給液方法が果実糖度,収量および栽培槽内ECに及ぼす影響 果実糖度は点滴潅水で1日あたり4回給液すると高くなり,可販果1果重に処理の影響は見られなかった。栽培槽内ECは処理の影響を受けなかった。よって果実糖度が高くなった原因は栽培槽内ECではないと考えられた。点滴潅水・4回給液区は給液量が少なかったため,栽培槽内の水位が低下して水ストレスがかかったのではないかと推測された。給液方法は栽培槽の水位との関係が整理できれば,糖度向上技術として有効になると考えられた。(3)食塩濃度が果実糖度、収量および栽培槽内ECに及ぼす影響 食塩濃度は0.2%で果実糖度が高くなったことから,糖度向上技術として有効であった。3 果実糖度に影響を及ぼす栽培槽内ECの時期 果実糖度は収穫10日前ECやストレス処理後7日目ECの影響を受けることが明らかとなった。ストレス処理後7日目ECが8dS/m未満となり,収穫10日前ECが14dS/m以上となると高糖度になると推定された。4 遮光処理と組み合わせる糖度向上に向けた栽培管理技術 夏季の果実糖度向上技術として明らかになったのは,ストレス処理時の食塩濃度であった。低遮光率の遮光ネットと組み合わせ,収穫10日前の栽培槽内ECが14dS/m以上になるように管理することが重要である。

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