スギ落とし込み板壁における厚板ねじ留めの効果

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  • スギ オトシ コミ イタカベ ニ オケル アツイタネジ トメ ノ コウカ

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抄録

スギ厚板を用いた落とし込み板壁の性能向上を目的として、厚板表面の溝に正方形のダボを挿入するとともに厚板を各種の方法でねじ留めした板壁の水平加力試験を行った。本ざね加工した厚板を横張りした後に、補強板として壁の垂直方向の縦板および交差させた斜め板をねじ留めした。真のせん断変位角が1/150rad時の耐力から求めた壁倍率相当値は、ダボのみの板壁では1.8倍であったが、縦板、斜め板およびこれらを複合させた板壁では、それぞれ2.5、3.4および4.7倍になり、大幅な性能の向上がみられた。縦板の板壁では、ダボのみの板壁に比べて壁の圧縮変形および横架材への板のめり込みが減少した。斜め板の板壁では、壁の圧縮変形および板相互のずれが減少し、壁の半分の幅で交差させるよりも壁全体の幅で交差させる方の耐力が高くなった。複合板の板壁では、縦板と斜め板の相乗効果が認められた。ダボのみの板壁では、面内せん断変形のうち横架材への板のめり込みが16%、板相互のずれが40%、壁の圧縮変形が25%、壁の水平移動が19%であったが、複合板の板壁では、それぞれ11、28、16および44%となった。複合板の板壁においては、板相互のずれと壁の圧縮変形が小さいために壁が一体となって水平せん断力に抵抗することができ、かつ、横架材への板のめり込みも小さいため、面内せん断変形が小さくなるとともに耐力が向上したと考えられる。

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