サケ稚魚長距離輸送時の経時的水質変化

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タイトル別名
  • Changes in water quality during long-distance transportation of chum salmon juveniles
  • サケ チギョ チョウキョリ ユソウジ ノ ケイジテキ スイシツ ヘンカ

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抄録

サケ稚魚の長距離輸送において輸送タンク内の水温,溶存酸素量,pH,電気伝導率,アンモニア態窒素濃度などの水質変動を調べた。2011年の3~4月にサケ稚魚86万尾(平均体重0.7~0.9g)を遠距離に位置する飼育場4箇所へトラックにより酸素補給しながら輸送した。輸送前の餌止め日数は1日であった。単位容積あたりの収容重量から求めた輸送時のタンク内の収容密度は6.0~7.2%,輸送距離は227~340km,輸送時間は4.9~7.1時間であった。タンク内の水温はほぼ一定であった。また,pHは輸送開始直後に低下がみられた後,中性に回復することはなかった。溶存酸素量は増加し,2.5時間後にはすべての輸送群で過飽和に達した。NH4-N濃度は輸送時間に比例して増加し,7時間後には6.38mg/lに達した(その際のNH3濃度は0.0009mg/l)。さらに電気伝導率とNH4-N量には相関関係が認められた。なお,輸送中と輸送後において稚魚の減耗はなかった。このことから今回の長距離輸送の条件はサケ稚魚に影響のない範囲であったと考えられ,また,NH4-N量の増加の指標として,現場で容易に推測する手段に電気伝導率が有効であると考えられた。

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