腰背部穿刺創から気胸および胸腔内出血を生じたチワワの1例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF PNEUMOTHORAX AND HEMOTHORAX CAUSED BY A LUMBAR STAB WOUND IN A CHIHUAHUA
  • 症例 腰背部穿刺創から気胸および胸腔内出血を生じたチワワの1例
  • ショウレイ コシ ハイブ センシソウ カラ キキョウ オヨビ キョウコウ ナイシュッケツ オ ショウジタ チワワ ノ 1レイ

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抄録

チワワ,7歳齢,未去勢オス。前夜に調理中の飼主が誤って柳刃包丁を落とし,真下にいた本症例の背中に突き刺さったとのこと。来院時受傷後13時間が経過しており,刃物は抜去されていた。意識はあるものの沈鬱な様子であった。第2腰椎左側に,幅約2cmの穿刺創が認められた。X線検査において,胸腔内液体貯留が疑われ,穿刺により血液が抜去された。血液検査より肝損傷,急性出血,および感染が示唆された。これらより,刃物は,腹壁を貫通し,肝臓を損傷したのち,横隔膜を穿孔して胸腔内に達したものと考えられた。外科手術を行ったところ,横隔膜腱中心の左側と,左腎頭側の腹壁に創が認められた。胸腔内には肝葉様の血餅が認められたため,除去した。損傷し横隔膜に癒着した肝臓の一部を切除し,胸腔ドレーンを設置して閉胸した。腹壁の創を縫合する際に,SpO2値の低下が認められ,胸腔ドレーンより新たな空気が多量に抜去された。これにより,腹壁の創は,横隔膜脚部と連続していることが判明した。本症例において,術前に気胸の症状は認められず,術中に緊張性気胸が認められた。これは,胸腔内に生じた血餅が,創に蓋をしたためではないかと考えられた。

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