公共牧場跡地に侵入したニホンジカが草地雑草植生に与える影響

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of sika deer (Cervus nippon) grazing on grass weed vegetation in an abandoned public pasture
  • コウキョウ ボクジョウ アトチ ニ シンニュウ シタ ニホンジカ ガ クサチ ザッソウショクセイ ニ アタエル エイキョウ

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説明

近年,山地帯の公共牧場ではニホンジカの採食により植生変化が進行している。陣馬形牧場は標高約1400mの上伊那郡中川村に位置する公共牧場で,2003年に閉鎖され現在放牧は行われていない。本研究では公共牧場跡地の草地植生にニホンジカがどのような影響を与えているのかを明らかにしようとした。公共牧場跡地では,ミヤコザサ,トールフェスク,オーチャードグラス,シラゲガヤ,シバスゲ,レッドトップなどが優占していた。ニホンジカ防護柵を設置し,植物体量の変化を調査したところ,トールフェスクとオーチャードグラスが採食によって大きく減少したが,牧草のレッドトップや調査地で最も優占していたミヤコザサはほとんど採食されていなかった。柵の内外で種多様度指数に差は見られなかったが,土壌硬度は柵外で有意に高く,今後,公共牧場の植生は採食と土壌環境の変化で長期的にみれば変化する可能性がある。ニホンジカは環境条件の変化によって採食行動を急速に変化させるため,影響を受ける植物の種類は時間とともに変動する可能性がある。

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