アサクサノリの糸状体の生長・単胞子嚢形成・単胞子放出と水温との関係

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  • アサクサノリ ノ シジョウタイ ノ セイチョウ タンホウシノウ ケイセイ タンホウシ ホウシュツ ト スイオン ト ノ カンケイ

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説明

アサクサノリ(ナガバ型)の糸状体を15°、18°、21°、24°、27℃の恒温槽を用いて、一定温度で或は温度を変えて培養し、その生長・単胞子嚢形成・単胞子放出と水温との関係を調べ次の様な結果を得た。1)生長(特に主枝の伸長)は15~24℃で良好で、この間で殆ど差異が見られない。27℃では抑制されるが、分枝は密である。温度の低い室温培養(実験期間中の平均室温10.7℃)では伸長・分枝共に最も劣った。2)胞子嚢は一定温度で培養を続けた時、15~27℃の間で、実験開始後15~45日で形成された。形成は21~27℃で早く、18℃では少し遅く、15℃では更に遅れた。実験の時期が違ったが、発芽初期のものよりも、ある程度大きくなったもので早く胞子嚢を形成した。3)胞子嚢の形成量は24℃で最も多く、次いで21°、27℃で多い。18℃では少し劣るが、後には胞子嚢は多数形成された。15℃では後まで僅かしか形成されなかった。より低温の室温では実験期間中胞子嚢の形成を認めなかった。4)胞子の放出は一定温度で培養を続けた時、15~24℃で胞子嚢形成後間もなく行われ始めた。放出量は18~21℃で最も多く、24℃では放出は少くはないが、少し抑制される様に思われた。15℃では放出はずっと少く、27℃では胞子嚢は形成されたにも拘らず胞子は放出されなかった。5)胞子嚢を形成した糸状体を温度を変えて培養する時、温度を下げると胞子の放出は促進され、27℃で培養したものも胞子を放出する様になった。温度を上げると胞子の放出は抑制され、24℃に上げた時顕著で、27℃に上げると放出は止まった。之等の温度の変化の影響は2~6日目に現われ、以後はその温度に応じた放出を行う様である。6)胞子の放出には、一定温度で培養を続けた時にも、或る週期を以て増減するのが見られた。その増減は高い温度で顕著で、週期は8~16日目乃至12~14日目に現われた。温度が変化すると週期は不規則になった。7)以上の結果から、アサクサノリ(ナガバ型)の糸状体の生長・胞子嚢形成・胞子放出の適温を考察し、又室内培養・天然に於ける生長・胞子嚢形成・胞子放出の経過と比較し、更にノリの天然種付・人工種付への応用について述べた。

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