炭化水素類の濃度と光化学オキシダント濃度上昇との関係について(3)

書誌事項

タイトル別名
  • Relationship between the concentration of hydrocarbons and the rising concentration of photochemical oxidants (III)
  • タンカスイソルイ ノ ノウド ト コウカガク オキシダント ノウド ジョウショウ ト ノ カンケイ ニ ツイテ(3)

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説明

平成23年度から約3年間にわたって、県下4地点における環境大気中の炭化水素類濃度と、光化学オキシダント濃度上昇の関係について調査した。調査地点の環境大気中の炭化水素類のうち、光化学オキシダント濃度上昇のリスクが高い物質はエチルベンゼン、キシレン類、トルエン、β-ピネン、プロピレンであった。エチルベンゼンとキシレン類はよく似た挙動を示し、植物由来と考えられるβ-ピネンを含め、温暖期に濃度が高まりやすく、光化学オキシダント濃度上昇のリスクが高い成分と考えられた。トルエンは一定の傾向がなく、温暖期だけでなく寒冷期にも濃度が高くなることがあり、プロピレンは調査期間を通じてほぼ一定であった。これらの炭化水素類が、光化学オキシダント濃度の上昇に明確に寄与しているという関係性は認められなかったが、炭化水素類の光化学オキシダント生成能が高いときには、日中の光化学オキシダントの増加量が大きく、ある程度の助長作用があるものと思われる。炭化水素類をはじめとする揮発性有機化合物は、光化学オキシダントの生成を助長するだけでなく、PM2.5の原因となっていることが指摘されている。また、本県を含む瀬戸内海沿岸地域は太平洋ベルトの一部であり揮発性有磯化合物の排出量が多く、これらのリスク低減には今後とも排出削減などの対策を進めていくことが必要と思われる。

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