小麦のグルテンの質に影響を与えるグルテニン遺伝子と製パン適性との関係

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タイトル別名
  • コムギ ノ グルテン ノ シツ ニ エイキョウ オ アタエル グルテニン イデンシ ト セイパン テキセイ ト ノ カンケイ

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抄録

小麦の倍加半数体(DH)系統を用いて,グルテンの質に影響する3つのグルテニン遺伝子座(Glu-D1,Glu-A3,Glu-B3)における遺伝子のタイプと加工適性(生地物性及び製パン適性)との関係を調査した。Glu-D1dを持つグループはGlu-D1aを持つグループに比べ,生地物性の強さの指標であるミキソグラムのピークタイム(PT)が長かった。また,Glu-D1dを伴う場合,Glu-B3gを持つグループはGlu-B3bを持つグループよりもPTが長く,Glu-D1d及びGlu-B3gを伴う場合,Glu-A3dを持つグループはGlu-A3fを持つグループよりPTが長かった。生地物性の強さへの影響に関して3つの遺伝子座における2つの対立遺伝子を評価すると,Glu-D1ではd>a,Glu-A3ではd>f,Glu-B3ではg>bとランク付けすることができた。パン比容積(SLV)は,d-f-b(それぞれGlu-D1,Glu-A3,Glu-B3の対立遺伝子に対応する)の組み合わせを持つグループが最も高く,d-d-gの組み合わせを持つグループは他のGlu-D1dを持つ3つのグループに比べ低かったが,生地物性はd-d-gの組み合わせを持つグループが非常に強く,d-f-bの組み合わせを持つグループはそれに次ぐ強さであった。d-d-gの組み合わせを持つグループは過剰に強い生地物性を持っており,このグループのパンの体積が小さかったのは,この超強力的な生地物性によるものであると考えられた。

収録刊行物

  • 北農

    北農 82 (2), 169-175, 2015-04

    札幌 : 北農会

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