赤ワイン向けブドウ新品種‘アルモノワール’

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  • New red wine grape cultivar 'Harmo Noir'

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抄録

1. アルモノワールは山梨県果樹試験場において,1988年に‘カベルネ・ソーヴィニヨン’に‘ツヴァイゲルトレーベ’を交雑して得られた実生から選抜した赤ワイン向けブドウである。2000年よりブドウ山梨44号の系統名でブドウ第10回系統適応性検定試験に供試された。その結果2009年3月6日付けで種苗法に基づき第17797号として品種登録された。2. 樹勢や樹冠の広がりは‘メルロ’と同程度である。花穂は円筒形で副穂を有し,1新梢あたり2~3花穂着生する。満開期は山梨市(標高440m)では5月下旬~6月上旬で‘メルロ’と同時期である。花振るい性は‘メルロ’と同程度に少ない。慣行防除で問題となる病害虫は認められない。3. 育成地における収穫期は9月下旬~10月上旬であり,果房は円錐形で,大きさは220g程度である。果粒の着生程度は‘メルロ’程度で,大きさは2g程度である。果皮は青黒色を呈し,果粉の量は多い。糖度は18.8%,酸含量は0.75g/100mlである。渋みおよび香りは感じられない。また,裂果の発生はほとんどみられない。収量性は1.2t/10a程度と考えられる。4. ワインは,総フェノール含量が高くタンニンを多く感じ,色が濃い。さらに,香りがフルーティで品質が優れている。5. 九州ではワインの色が薄く,総フェノール含量が少ない。一方耐寒性は高く,東北以北でもワイン品質は良好であることから,本州から北海道にかけての比較的冷涼なブドウ栽培地域で特性を発揮できる。

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