キウイフルーツ新品種「さぬきエンジェルスイート」の育成

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タイトル別名
  • Breeding of a new kiwifruit cultivar 'Sanuki Angel Sweet'
  • キウイフルーツ シン ヒンシュ 「 サ ヌキ エンジェルスイート 」 ノ イクセイ

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抄録

1. 「さぬきエンジェルスイート」は,香川県農業試験場府中果樹研究所保存の79-1-2(静岡県の生産者から導入した雌系統)に中国系キウイフルーツの雄系統(保存系統名: FCM-1)を交配して育成した品種である。2013年7月29日に種苗法に基づき,第24497号として品種登録された。2. 樹勢は中であり,樹体はやや小さい。葉の大きさは中に分類される。葉柄の長さは長く,アントシアン着色は強い。花穂の着生数は中であり,側花の数はやや多い。育成地(香川県坂出市)における発芽期は3月中下旬,開花期は5月上中旬,成熟期は10月中旬であり,いずれも対照品種である「レインボーレッド」より遅い。3. 果皮は暗褐色,果形は広楕円形である。果実は100g程度とキウイフルーツでは中庸な大きさである。果実表面毛じの密度は粗で,長さは短く,また脱落しにくい。果肉は,種子外側が黄緑色,種子周辺が赤褐色を呈するため,果肉断面の色彩コントラストが美しい。果肉種子周辺の赤褐色の占める割合は,「レインボーレッド」より少ない。糖度計示度は18~20と高く,クエン酸換算含量は0.40g/100mL程度と低い。肉質が密で軟らかく果汁も多く,加えて他の品種にない独特の旨味があることから,食味は極めて良好である。追熟はやや易で,エチレン処理後約8~12日で可食適期となる。貯蔵性はやや短く,5℃貯蔵で2~3ヶ月程度である。4. 概ね県下のキウイフルーツ産地に導入可能と考えられるが,品質の良い果実を生産するためには,高温や土壌乾燥などの樹体ストレスが少なく,排水が良好で耕土の深い土壌での栽培が望ましい。

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