オゾン水の殺糸状真菌(カビ)効果におけるpHの影響

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  • The evaluation of an influence of pH of ozone water on fungicidal effect
  • オゾンスイ ノ サツシジョウ シンキン(カビ)コウカ ニ オケル pH ノ エイキョウ

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抄録

オゾン水は残留や耐性菌発生が生じない消毒資材として,細菌,芽胞,ウイルスおよびカビに対する消毒効果が認められ食品工場等で実用化されているが,菌種によって消毒効果に差が存在することが報告されている。オゾン抵抗性カビChaetomium globosumを用いて,消毒効果を向上させる条件の探索を念頭に置き,オゾン水のpHが殺カビ効果に与える影響を検討した。胞子数1.1~1.5×10 6 CFU/mLのC. globosum胞子液1mLに対し,オゾン水の原料となる(1)滅菌精製水のみ,(2)10%HCl,10%NaOHを用いてpH(1~12)調整を行った滅菌精製水,(3)4 ppmオゾン水,(4)pH(1~12)調整を行った4 ppmオゾン水200mLを10℃,20℃,35℃で5分間感作させた。その結果,10℃において滅菌精製水では1.5±0.19×10 6 CFU/mLであり,それに対する各試験のコロニー数の比率はpH調整滅菌水93%,オゾン水68%,pH調整オゾン水25%であった。20℃において滅菌精製水では1.1±0.19×10 6 CFU/mLに対し,pH調整滅菌水64%,オゾン水43%,pH調整オゾン水27%であった。35℃において滅菌精製水では1.1±0.19×10 6 CFU/mLに対し,pH調整滅菌水82%,オゾン水33%,pH調整オゾン水4%であった。また,すべての温度でオゾン水とpH調整オゾン水から採取した胞子のみ,胞子の収縮や胞子内容物の流出が観察された。20℃では明らかにpH調整オゾン水の殺カビ効果の増強が認められたことから,オゾン水と併用して使用できる消毒薬や添加剤を探索することで消毒効果の向上が可能であることが示唆された。

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