戦後地域婦人会の変遷と現状―奄美大島大和村の事例を中心に―

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抄録

本稿は離島である奄美大島の大和村地域婦人会を研究対象に取り上げ,戦後から現在まで歴史的流れの中で,分離期,高度経済成長期,安定成長期と現在の四つの時期に分け,各時期の活動の特徴をとらえ,女性と地域婦人会組織の相互関係について考察を試みる。歴史的に見ると,戦後初期,特に分離期における大和村地域婦人会は女性の立場を配慮し,女性の労働負担の軽減や女性の地位向上を含め,評価すべき活動を行った。身近な活動を行う婦人会に対する熱意が感じられた時代もあった。しかし,社会の進展に伴い,女性自身の成長や意識の変化も地域婦人会の発展や存続に影響を与えた。現在,役員になりたい人がいないため,大和村における11の集落のうち,約半分の地域で婦人会が組織されていない。大和村の女性の間には,地域婦人会に対する無関心な態度が窺える。それは大和村地域婦人会の衰退の現状と密接な関係があると思われる。現在,地域婦人会の衰退に関する指摘が多く見られるが,大和村地域婦人会と女性がこれまで相互に影響しあい,地域婦人会が女性および社会の発展に大きく貢献したことは否定できないであろう。女性の生活方式と思考方式の変化が現在の地域婦人会の発展と存続の問題をもたらしたと言えるが,地域婦人会の衰退それ自体は,見方を変えれば,女性自身の成長が地域の網羅性を打破する女性意識の覚醒と見ることもできるであろう。

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