ハフ変換による画像分析試論 : 絵巻の建築物を中心に

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タイトル別名
  • A Study of the image analysis by Hough transformation, featuring buildingsb in Emaki
  • ハフ ヘンカン ニヨル ガゾウ ブンセキ シロン : エマキ ノ ケンチクブツ オ チュウシン ニ

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抄録

科学的手法を用いた絵巻における画像のパターン分析は、一部の研究を除き、従来ほとんど着手されてこなかった。本研究は、ハフ変換を用いることで、絵巻に描かれた建築物の斜角を検出し、その傾向をパターン分析したものである。対象とした作品は、制作年代が巻によって異なる「石山寺縁起絵巻」、鎌倉時代に同一工房で制作された「春日権現験記絵巻」、江戸時代初期に制作された「元三大師縁起絵巻」等である。「石山寺縁起絵巻」では、時代の違いと建築物における斜角の傾向がほぼ一致していること、「春日権現験記絵巻」では、前半の斜角はほぼ同じであるが、後半は差異が見られること、「元三大師縁起絵巻」では全巻を通して斜角にばらつきが見られることを指摘した。これらは時代や工房の違い、分業の在り方、絵巻における古典編集を反映していると推測される。今後は、従来の文献や様式研究等と照合することで、その有用性を検証していきたい。

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