桜島の溶岩台地上に生育するクロマツのマツ材線虫病に対する抵抗性

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タイトル別名
  • Pine wilt disease-resistance of Pinus thunbergii trees growing on lava terrace in Sakurajima
  • サクラジマ ノ ヨウガン ダイチ ジョウ ニ セイイク スル クロマツ ノ マツザイ センチュウビョウ ニ タイスル テイコウセイ

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抄録

鹿児島県桜島の溶岩台地上に生育するクロマツのマツ材線虫病に対する抵抗性を明らかにするために,1997年と1998年に,鹿児島大学農学部付属演習林桜島溶岩実験場に生育するクロマツ幼樹と桜島溶岩実験場で採取した種子由来の本部実験苗畑に生育するクロマツ幼樹に強病原性マツノザイセンチュウ(島原系統)を1万頭と1千頭接種し,半年間にわたり針葉や樹脂滲出の異常と生存を追跡した。接種後2週間目には樹脂滲出異常が,4~6週間目には針葉の萎凋が,そして8~10週間目から枯死が認められた。1千頭接種個体の死亡率は,接種年やクロマツの生育場所にかかわらず,8~12%と低かった。1万頭接種個体の死亡率は,溶岩実験場に生育する個体では,1997年は14%,1998年は18%と低かったが,苗畑に生育する個体は75%と高かった。8月から9月にかけては,苗畑に比べ溶岩台地の方が,日中の気温は2~3℃高く,湿度は10~30%低かっ た。しかし,クロマツの木部圧ポテンシャルには溶岩実験場と苗畑で有意差は見られなかった。夏の日中に水分ストレスを強く受けると考えられる桜島の溶岩台地上に生育するクロマツは,遺伝的抵抗性を持ってはいないが,何らかの要因が働いて樹勢が増し,見かけ上抵抗性を有しているように見られると考えられた。

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