モンティチェロ・プランテーションに見られる奴隷の生産物取引

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タイトル別名
  • Monticello Revisited : An Examination of Slaves' Trade with Jefferson's Household
  • モンティチェロ ・ プランテーション ニ ミラレル ドレイ ノ セイサンブツ トリヒキ

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抄録

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アメリカ独立宣言起草者、第三代大統領として知られるトマス・ジェファソンは、半面、科学的農法を奴隷制大プランテーションで実験する進歩的プランターでもあった。だが、彼の時代に南部ヴァージニアではタバコ経済が凋落の一途を辿っており、その大きな波は農工業分野における彼の新たな試みをも飲み込み、プランテーション経営は苦境に立たされていた。農場経営者としては成功しなかったジェファソンだが、200名前後の奴隷所有者として奴隷に労働意欲をもたせ、積極的に労働するよう仕向けたその手腕は後のアンティベラム時代の進歩的プランターを予感させる先駆的なものだった。その戦略のひとつが「奴隷経済活動」を背後から支持し、奴隷が余暇を利用して自身でつくる生産物を購入してやり、いっそう労働意欲をかき立てるというものであった。この奴隷生産物を買い取った記録がジェファソン農園に残っており、それを実証分析することで奴隷たちのささやかな、しかし粘り強い経済的営みが明らかとなった。特にモンティチェロ農場近隣地域の奴隷たちの自立的生産・売却活動は「モンティチェロ共同体」の形成を奴隷の側から推し進める力となった。

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