要石(かなめいし)の震災文化論 : なぜ日本海沿岸地域には要石信仰が見られないのか

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タイトル別名
  • Large Earthquake Disaster and “Kaname-ishi(stone)” : Why isn't “Kaname-ishi(stone)” Belief popular in the Sea of Japan Coastal Area?
  • カナメイシ(カナメイシ)ノ シンサイ ブンカロン : ナゼ ニホンカイ エンガン チイキ ニワ カナメイシ シンコウ ガ ミラレナイ ノ カ

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抄録

論文(Article)

日本に於いては、同じ様な場所に於いて繰り返されて来た、殆んど周期的な地震の発生に依り、人的、物的にも多大な被害を被って来たのである。人々(当該地震に関わる被災者達)は、そうした大規模な震災の記憶を、文字情報としては勿論のこと、それ以外の非文字認知的手法―説話・伝承・地名・宗教施設・石造物・信仰等、としても残し、子孫への警鐘・警告、又、日常生活上の戒めとして来たのである。それは、日本社会で大多数の人々(為政者層、被支配者層の人々)に依って、或る事柄の記録が、文語資料として残される様になるのは、近世に入って以降のことであったからである。これは、寺子屋・郷学・私塾・藩校・藩学等に見られる教育機関の普及や、社会の安定、貨幣経済の成熟、農業振興等の理由に依る。それ以前の段階に於いては、文字を使用した形式での情報共有は困難であったのである。本稿では、そうした視角に立脚し、地震鎮めの効果を期待して実施されていた、「要石(かなめいし)信仰」に焦点を当てつつ、その太平洋沿岸諸地域と、日本海沿岸諸地域間での残存状況を比較、検討しながら、その差異の検証、分析や、その背景、経緯等に就いて考察を加えたものである。

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