地方公営企業会計における利益および資本概念の公共会計学的解釈(上)

書誌事項

タイトル別名
  • チホウ コウエイ キギョウ カイケイ ニ オケル リエキ オヨビ シホン ガイネン ノ コウキョウ カイケイガクテキ カイシャク(ウエ)
  • チホウ コウエイ キギョウ カイケイ ニ オケル リエキ オヨビ シホン ガイネン ノ コウキョウ カイケイガクテキ カイシャク (ジョウ)
  • Chiho koei kigyo kaikei ni okeru rieki oyobi shihon gainen no kokyo kaikeigakuteki kaishaku (jo)
  • The interpretation on the concept of the profit and capital in local public enterprises accounting from the perspective of "accounting for public interest" (1)

この論文をさがす

説明

type:text

本論文では, 地方公営企業会計における資本制度の改訂について, 「利益積立金制度改訂の意義」をロールズの「公正としての正義」の第1原理からみたうえで, 「資本組入制度改訂の意義」をロールズの第2原理から検討し, 地方公営企業会計に対する公共会計学の観点から一解釈の提示を目的としている。このような公共会計学的解釈は, 社会的インフラ資産の維持・更新の一翼を担う地方公営企業において, 「利益」がそれらの維持・更新の財源として果たすべき本質的機能や世代間における「利益」の時間的な分配の衡平性という論点を考察するための一視座となる。  本稿(上)ではそのための前提となる概念整理を行う。第1に, 地方公営企業における資本制度の改訂について地方分権改革の基本理念等との関係を簡単にみたうえで, ロールズの「公正としての正義」の観点から地方分権改革の基本理念等の検討を行い, このようなアプローチによる考察の可能性を示す。第2に, これを前提に, まず, 今般の「利益積立金制度改訂の意義」について, 利益処分権限に焦点をあてて, 会計エンティティ論から一定の整理を行ったのちに, ロールズの「公正としての正義」の第1原理から, 公共会計学的解釈として若干の検討と課題を提示する。第3に, 次稿(下)において「資本組入制度改訂の意義」を検討するための前提として, 地方公営企業における「利益の性格とその在り方」という問題を考察する。まず, 総括原価方式に基づく事業報酬の計算方法に内在する利益の性格について再整理を行い, 今般の地方公営企業会計の改訂趣旨との関係を検討する。次に, このような整理・検討を踏まえ, 社会的インフラ資産の維持・更新財源の負担に係る世代間における受益と負担の関係について, 課題を提起し, 次稿(下)の展開へとつなげる。

研究ノート

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 57 (5), 85-101, 2014-12

    慶應義塾大学出版会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ