私的カフェ論その7

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タイトル別名
  • シテキ カフェロン ソノ 7
  • Shiteki kaferon sono 7
  • My personal essay on cafe part 7

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抄録

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坂本光司の提唱する「正しい経営」とは, 人(まず社員とその家族, 次に外注先・下請企業, そして顧客, 地域社会, 最後に株主)を犠牲にしない経営である。社員の幸せを真っ先に考えるのが経営者の仕事であり, 社員が自分の所属する組織に愛着を持てば持つほど, 業績は上がる。働くことで社員が幸せになれる会社は, リストラなし, 転職的離職率3%以下, サービス残業なし, 残業時間は月10時間以下, 社員に経理財務を公開, ハートフルな福利厚生がある。 ここまで, 社員・家族の生活, 外注先の生活, お客の幸せを念じているのかと, 坂本に言わしめた伊那食品工業の塚原寛会長は次のように考える。会社は, 従業員を幸せにするためにある。この従業員を幸せにすることを通じて「いい会社」を作り, 地域や社会に貢献する。そのためには, 会社が永続することが一番重要。それには「遠きをはかる」必要がある。そして, いい時も悪い時も無理をせず, 低成長を志して自然体の経営に努める。これを「年輪経営」と言う。この経営方針に基づき, 年功序列制度, 信頼関係の構築, バランスの取れた経営, 適正価格での取引, 新製品開発・新市場創造, そして100年カレンダーと教育勅語を題材とした新人研修を行う。 和洋菓子メーカーの「柳月」は, 店舗をキーとした商品開発, 製造, 販売を一貫して行うことで, 各部署の連携を取りやすく, お客のニーズの変化に敏感に反応する。家族の団らんを供し, コストダウンに努め無駄を省き, 安全で衛生的なお菓子を作る, 帯広十勝・北海道に貢献, そして常に新しい商品を提供し続けることを使命とする。さらに驚嘆すべきは, 正社員が70%を超える正規社員重視の経営を実行している。 飲食店の原価率はドリンク・フード平均で20~35%が目安。フード原価は高くなりがちなため, ドリンクで20~25%以内に抑えたい。カフェ開業のための初期費用を見積り, 資金手当を行う。原価と見積もったランニング・コストをカバーする1ヶ月の売上高を計算し, フードとドリンクのメニューを決める。Five senseは, 当初は厳しかったが, 「ぐるなび」を始めて貸し切りパーティーが増え(30%)売上がよくなった。2年目には安定。3年目はしっかり軌道に乗った。しかし, ボヤ騒ぎを起こしたうえに, 客が焚いたスモークで火災報知器が作動, さらに酔った客が大家さん経営のお店の看板を壊し, 大家さんとの関係悪化により閉店。

論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 60 (5), 11-36, 2017-12

    慶應義塾大学出版会

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