偽りの記憶と諸尺度 : 被暗示性尺度(GSS, CIS)と解離体験尺度(DES)

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タイトル別名
  • False memories and some scales : GSS, CIS, and DES
  • イツワリ ノ キオク ト ショ シャクド ヒアンジセイ シャクド GSS CIS ト カイリ タイケン シャクド DES

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抄録

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記憶が変容し, 再構成されるものであることは古くから指摘されている(Bartlett, 1932; Loftus, 1982; Neisser, 1988; Spiro, 1980)。だがこのような指摘は実際にあった出来事が幾分なりとも記銘され, 保持されていることを前提としている。これに対し近年では, 実際に体験しなかったことまでもが「記憶」として植えつけられ, 「想起」され得ることが問題とされるようになった(Ceci, 1995; Ceci, Leichtman & Gordon, 1995; Loftus, 1997; Loftus, Coan & Pickrell, 1996; Loftus, Feldman & Dashiell, 1995; Loftus, 1994; 高橋, 1997)。例えばCeciらは幼児に, 幼稚園を訪問したサム・ストーンという人物について, 実際にはなかったことの「記憶」を植えつけている。彼らはサムの訪問に先がけ, 幼児にバイアスのかかった情報を与え, またサム訪問後, 繰り返しバイアスのかかった質問を行うことで, サムが本を破いたり, 熊のぬいぐるみを汚したりしたという偽りの「記憶」を作り出した(Ceci, 1995; Ceci, Leichtman & Gordon, 1995)。またLoftusらは児童から老人までを対象に, ショッピング街で迷子になったという「記憶」を(Loftus, 1997; Loftus, Coan & Pickrell, 1997; Loftus & Ketcham, 1994), Hyman, Husband & Billings (1995)は学生を対象に, ウェディング・パーティでパンチ・ボウルをひっくり返したという「記憶」を, またSpanosらは学生を対象に, 乳児の頃, ベビーベッドの上にモビールがかかっていたという「記憶」を作り出している(Loftus, 1997の引用による)。このような記憶の形成には(1)何かを思い出すよう圧力をかけること, (2)その(実際にはなかった)「出来事」について繰り返しイメージを喚起するよう求めること, (3)そのイメージが偽である可能性を追究しないこと, そして(4)例えば「誰々もそれが事実

source:Bulletin of the Faculty of Education, Chiba University. I, Pedagogy

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