Aggregatibacter actinomycetemcomitansによるインフラマソームの活性化

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  • Activation of inflammasome by Aggregatibacter actinomycetemcomitans

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抄録

インフラマソームは多様な生理活性をもつ炎症性サイトカインのひとつであるIL-1βの産生を制御する細胞内センサーである.近年,IL-1βが関与する炎症性疾患の多くがこの細胞内センサーの活性化と関連している可能性が示唆され,病態解明の手がかりとしてインフラマソームが注目されている.歯周炎はその病態形成にIL-1βが重要な役割を果たすが,歯周炎とインフラマソームとの関連を示した報告はほとんどない.そこで,本研究では,侵襲性歯周炎の主な病原菌であり,感染性心内膜炎や敗血症などの全身疾患との関連も多く報告されているAggregatibacter actinomycetemcomitansの歯周疾患における病因論の一部を明らかにすることを目的とし,本菌によるインフラマソームの活性化について検証した.A. actinomycetemcomitansの生菌および死菌でA/Jマウス由来樹状細胞(XS106細胞)を刺激したところ,生菌,死菌ともにIL-1βの産生を誘導したが,A. actinomycetemcomitans培養上清では産生誘導はみられなかった.生菌および死菌でのIL-1β産生誘導活性はZ-VAD-FMKとZ-YVAD-FMKで有意に阻害された.さらに,これらのIL-1β産生誘導活性はcaspase-1ならびにNLRP3のノックダウンにより有意に減弱した.また,A. actinomycetemcomitans菌体はXS106細胞にネクローシス様細胞死を誘導し,その細胞死はIL-1βの産生を伴うことからピロトーシスであると考えられる.  以上の結果から,A. actinomycetemcomitans菌体はXS106細胞においてNLRP3インフラマソームを活性化し,IL-1β産生ならびにピロトーシス誘導活性を有していることがわかった.

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