ビスホスホネートと2価金属イオンとの拮抗によるアルカリ性ホスファターゼ活性の阻害

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  • Inhibition of alkaline phosphatase activity by competition between bisphosphonates and divalent metal ions

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抄録

ビスホスホネート(BP)によるALP活性抑制の報告があるが,その機構は不明な点が多い.そこで,ヒト組織非特異型ALP(骨型,肝臓型),及び組織特異型ALP(胎盤型)とマウス由来骨芽細胞様細胞であるMC3T3-E1細胞のALPに対する,窒素非含有型のclodronate,窒素含有型のrisedronate及びalendronateによるALP活性の阻害機構を検討した.Mg,Zn及びCa存在下の活性を,それぞれ,Mg-ALP,Zn-ALP及びCa-ALPとし,基質としてパラニトロフェニルリン酸(p NPP)あるいは無機ピロリン酸(PPi)を使用した.p NPPを基質とした骨型及び肝臓型の各ALP活性はclodronate,risedronate及びalendronateの濃度に依存して抑制された.Mg-ALPでは,各BPとMgとの拮抗が見られたが,Zn-及びCa-ALP活性におけるBPとZn及びCaとの拮抗は,Mg-ALPほど顕著ではなかった.また,clodronateと比較してrisedronate及びalendronateのほうが強いMg-ALP抑制作用を示し,阻害作用は窒素非含有型と比較して窒素含有型BPのほうが強いことが示唆された. PPiを基質とすると,clodronateはMC3T3-E1及びヒト胎盤型ALPのCa-ALP活性を,Caと拮抗して濃度依存性に抑制した.P-C-P結合を持つBPがP-O-P結合を持つ基質と拮抗する可能性を考えて,骨型及び肝臓型ALPを使用して,Mg-,Zn-及びCa-ALP活性のp NPP濃度依存性に対するclodronate,risedronate及びalendronateの影響を検討した.BPは濃度に依存して最大活性を抑制したがp NPPによる50%活性化濃度には顕著な影響を与えず,BPはALPの基質であるp NPPとは拮抗しないことを示唆した.以上の結果は,BPはALPの種類,基質,活性化する2価金属の種類に関係なく,2価金属イオンとの拮抗によりALP活性を阻害し,その作用は窒素含有型が非含有型と比較して強いことを示唆した.

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