アラゴンの小説技法(1) : 方法としての「余談」について

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  • アラゴン ノ ショウセツ ギホウ 1 ホウホウ ト シテ ノ ヨダン ニ ツイテ
  • L'art romanesque d'ARAGON 1 : la parenthese comme methode

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抄録

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アラゴンは自分の作品がすべて「余談」の連続だと、ある対談で語っている。確かに彼の自由奔放で融通無碍な語りの流儀は、逸脱と脱線の連続からなる「余談」の連なりとも見えなくもない。しかも自覚的な方法として彼は「余談」をロマネスクな世界の生産装置と位置づけているのだ。作者が偏愛する作品である『オーレリアン』を素材として、この「余談」の方法がどのように展開されているのかを以下の論考では分析したい。そこから見えてくるのは「余談」が実は「間テクスト性」や小説技法の「脱構築」といった、書くという行為の根底からの再検討の試みと結びつくものだという事実である。バフチンの言う「多声的小説」が生じてくるのも、そうした「余談」の技法によってなのだ。また、一見レアリスムの小説に見える『オーレリアン』が、実は深くシュルレアリスム的な手法を「密輸入」しつつ書かれた、後期小説で開花する豊饒にして柔軟な小説技法の習練の場でもあったことを明らかにしたい。

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