うっ血性心不全を呈したホルスタイン種乳牛にみられた巨大肺腫瘍

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抄録

7歳10カ月齢のホルスタイン種乳牛が削痩、呼吸促迫および浮腫、頸静脈怒張などのうっ血性心不全を呈した。聴診では右側胸壁からの心音が遠く、拍水音が聴取された。胸部超音波検査により直径約30cmの腫瘤性病変が心臓の右側に確認され、心臓が重度に圧排されていた。スパイナル針を用いた穿刺検査により、腫瘤は膿瘍であることが確認された。穿刺により膿汁10lを抜去したが、うっ血性心不全症状は改善されなかった。病理解剖により、胸腔内膿瘍は右肺前葉から中葉に形成されたものと確認された。また、病理組織学的検索では慢性化膿性気管支肺炎と肺高血圧症と診断された。本症例のうっ血性心不全は主として慢性肺高血圧によるものと考えられた。

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