2 電子顕微鏡でみたHelicobacter pylori感染症 : 蛋白漏出性胃症など(シンポジウム 『Helicobacter pylori感染症』・その基礎と臨床, 第664回新潟医学会)

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  • Electron Microscopic Study of H.pylori Infection : Particularly Protein-losing Gastropathy(Helicobacter pylori infection : Its Basic and Clinical Aspects)

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抄録

Helicobacter pyloriは家族(親子)感染をコアとして, 世界の人口の推定50%の胃粘膜に感染してきた. 日本では母子感染と父子感染を認める. 小児の場合, 除菌後に親から再感染を受けることがある. H.pyloriには強毒株 [例:cagA(EPIYA-ABD), vacA(s1/m1)] と弱毒株 [例:cagA陰性, vacA(s2/m2)あるいはcagA(EPIYA-ABC), vacA(s2/m2)] が存在する. 新潟を含む日本には前者が分布. 本研究では, 強毒株による家族内感染で小児が蛋白漏出性胃症を発症した事例を解析した. 除菌治療で改善したことから, 本症とH.pylori感染との関連が強く示唆された. この症例では, 小児だけにtypeIV分泌システム(cagA)が原因となって起こる特異な感染像(台座形成)が異常に多く見いだされた. また小児にOCRL1遺伝子変異 [Arg318Cys(C__-GC→T__-GC)]を認めた. 台座形成は, H.pylori因子(候補:cagA)と宿主側要因(候補:OCRL1変異)が決定づける病変であった. 蛋白漏出性異常が, H.pyloriによる膜障害に関連する可能性がある.

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