食道癌術後再建胃管潰瘍穿孔により腹腔内膿瘍をきたした1例

書誌事項

タイトル別名
  • ショウレイ ホウコク ショクドウ ガン ジュツゴ サイケン イカン カイヨウ センコウ ニ ヨリ フクコウ ナイ ノウヨウ オ キタシタ 1レイ
  • A Case of Intra-abdominal Abscess caused by Perforation of Reconstructed Gastric-tube Ulcer after Esophagectomy

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抄録

症例は63歳, 女性. 1年8ヶ月前に胸部中部食道癌に対して右開胸食道亜全摘術, 胸骨後経路胃管再建術を施行した. 2ヶ月ほど前より腰痛のため, 近医で消炎鎮痛薬の処方を受けていた. 背部痛を主訴に近医を受診し, 高度貧血を認めたために当科を紹介受診した. 入院後, 上部消化管内視鏡検査(EGD)で活動性の再検胃管潰瘍を認めた. また, 胸腹部造影CT検査で左横隔膜下膿瘍を認め, 再建胃管から膿瘍に連続する気腫を認めた. 全身状態は安定しており, 保存的加療を選択し, エコーガイド下で経皮的膿瘍ドレナージを施行した. 入院1週間後の上部消化管造影検査で, 胃管からの造影剤漏出は認められず, 経口摂取を開始した. 症状発現3ヶ月後のEGDで潰瘍は瘢痕化を認めた. 再発予防として抗潰瘍薬(PPI)の内服を継続していたものの, 症状発現1年後に新たな潰瘍の出現を認めた. 抗潰瘍薬の変更を行ったところ改善を認め, 以降現在までに潰瘍の増悪は認めていない. 胃管潰瘍の発生頻度は決して稀ではなく, 穿孔時は致死的な経過を辿る可能性があり, 状態に適した治療の選択が必要となる. 全身状態が安定し, 穿刺ドレナージが可能である場合は保存的加療の適応となり得る.

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