ヒノキ壮齢林の下層樹木の樹冠下における樹冠通過雨量の空間分布特性

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タイトル別名
  • ヒノキ ソウレイリン ノ カソウ ジュモク ノ ジュカン カ ニ オケル ジュカン ツウカ ウリョウ ノ クウカン ブンプ トクセイ
  • Spatial Distributions of Throughfall beneath Canopies of Understory Trees in a Mature Chamaecyparis obtusa Stand.

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抄録

ヒノキ人工壮齢林の下層樹木の樹冠下における樹冠通過雨量の空間分布特性を明らかにすることを目的として、隙間なく格子状に並べた雨量計群を用いて複数の降雨における樹冠通過雨量を測定した。その結果、下層樹木の樹冠下における樹冠通過雨量は、おおむね下層樹木に覆われていない部分の樹冠通過雨量よりも少ないが、一部で樹冠通過雨が極端に集中する箇所(集中滴下点)の存在が確認された。これらの集中滴下点は、アオキやユズリハといった葉の大きい樹木の樹冠下で出現したが、シラカシやヤブムラサキといった葉の小さいの樹木の樹冠下では観測されなかった。降雨毎の集中滴下点の発生頻度を調べた結果、降雨量の少ない場合には集中滴下点の出現頻度は少ないが、降雨量が多い場合には出現頻度が高くなる傾向があった。ただし、降雨量が比較的大きいにもかかわらず、集中滴下点の出現が全く確認されない降雨が、全9降雨のうち2降雨存在した。その原因についての検討は今後の課題となった。また、これらの2降雨以外の7降雨では、おおむね同じ場所に集中滴下点が出現することが確認された。また、1点の集中滴下点の大きさについて検討をおこなった結果、本研究で観測された集中滴下点の大きさはたかだか半径約7cmの円の範囲であることがわかった。本研究の観測結果を林分の樹冠通過雨量やその誤差の推定に応用することを念頭において、いくつかの集水面積の異なる樹冠通過雨コレクターを用いて樹冠通過雨量の仮想的な測定をおこない、それぞれのコレクターで測定されうる樹冠通過雨量の頻度分布の形状を明らかにした。

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