農産物市場構造の分析

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タイトル別名
  • ノウサンブツ シジョウ コウゾウ ノ ブンセキ
  • The analysis of market strcture of agricultural products

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説明

明治以来の農産物市場構造の変化を図表で示すと表6に見られる如くである. これを要約すると次の如き結論が得られる. 1.aの値が明治期,大正~昭和期,戦後昭和期と時代を経るにつれて,小さくなる如き変化した. このことは次の二つの意味として理解される. イ)供給の価格弾力性が大きくなった. ロ)需要の価格弾力性が小さくなった. 供給の価格弾力性は生産物の商品性が増大すると共に大きくなることは当然考えられる. 需要の価格弾力性が時代の変遷と共に小さくなったことは農業生産物の必需性が増大したことを意味し,うなづける結論である. この二つの結果の両者が同時に行なわれたとすると,農産物の不安定性は時代とともに増大したことになる. 2.戦後においては供給曲線が右下り又は需要曲線が右上りの農産物が表われた. いも類,野菜類. 3.成長農産物といわれる畜産,果実においては戦後も生産者側の価格支配が強く働らいて価格が決定されたが,麦類,いも類,それに荷傷のはげしい野菜等は需要者の価格支配力が強く働いて,価格が決定されるように変化して来た. 4.戦前までは所得の増大によって米,麦の需要が大きく増大し,農産物価格の上昇を生んできたが,戦後においては所得の増大が需要の大なる増大を生み,価格の大きな上昇を生む農産物は果実,畜産に変化して来た. 5.戦後においては需要の所得弾力性をマイナスに変化させた品目が特に麦類,いも類,豆類,野菜に見られた. 6.戦前までの技術進歩は持に米,麦,いも類に大きかったが,大正~戦前昭和期には野菜,果実の技術も大きく進歩させた. 戦後における技術進歩は少なく,ただ豆類のみが大きな技術進歩を生んだ。

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