日本・ニュージーランド・イタリアの保育実践評価に関する基礎的研究 ―「表現」を理解しようとする評価(アセスメント)について-

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タイトル別名
  • Basic research on ECCE practice Assessment in Japan, NZ and Italy -Assessment for Understanding "Expression"-

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抄録

近年, OECD (経済協力開発機構) が乳幼児期の保育・教育に注目している. グローバル経済下で先の見えない新しい競争を勝ち抜ける人材確保のためには, より効果的で生産性の高い保育・教育実践をする必要がある. しかも, より幼い時期から教育という投資は開始すべきであり, それは投資時期が早ければ早いほどリターンが大きいからだ, とされている.OECD に代表されるこれらの発想の背景には, 功利的な経済学の考え方がある. ここには, 乳児期からの保育・教育が, 現行の世界経済システム, ひいては資本主義国家を支えていくというイメージが内包されている.  しかし, 経済効果の上昇を狙うこうした施策の示す一律の評価基準は, 本当に私たちの日々の保育実践を, ひいては生活全般を豊かにしているだろうか. いわば資本主義の延命治療に, 私たちの暮らしが巻き込まれているだけではないのか. 各地域で実際に子どもを育て, それぞれの親子とともに生きる保育者の実践を見ることを通して, 彼らが「子どもを理解するための多様な評価基準」をもつことの意味を再考したい. 均質な基準, 国際的な学力到達度基準(ベンチマーク) という標準値からの距離だけで人を評価・判断しない保育者は, 何をもって人間を理解(評価) しているのか, その評価の含意していることとは何か, 効率性だけを求めない<無為>である実践の意義について考察するための基礎データを提示したい.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050002212665507584
  • NII論文ID
    120006783525
  • NII書誌ID
    AA12885396
  • ISSN
    24352802
  • Web Site
    https://nfu.repo.nii.ac.jp/records/3243
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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