同一価値労働同一賃金原則を用いた小売業の人事・処遇制度の分析(その 2)

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  • ドウイツ カチ ロウドウ ドウイツ チンギン ゲンソク オ モチイタ コウリギョウ ノ ジンジ ・ ショグウ セイド ノ ブンセキ(ソノ 2)
  • The Analysis of The Personnel Management System of Japanese Retail Company

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抄録

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本研究は、3つの生協で働く、管理的業務を担う正社員と非正社員を対象にした同一価値労働同一賃金原則に基づく職務分析・職務評価調査を用いて、小売業(生協)の人事・処遇制度の検討を行うものである。組織内で所属長を含む正社員と、パートタイム労働者が、どのような仕事を担当しているのか、そして、その仕事の難易度や責任はどの程度の違いなのかを明らかにする。前稿では調査手法の概要と職務評価点の平均値の概要を示した。続く本稿では、調査対象の3つの生協の人事・処遇制度の概要を示し、職務評価点の詳細な分析を行なった。分析を通じて明らかになったのは、次の諸点である。①3生協ともに、程度の差はあるものの、正規職員の役職または等級ごとにみた職務評価点は、上位の役職等になるにつれ段階的に高まっている。②役職についていない正社員の一般担当者を基準に、1時間当たりの賃金と職務評価点の比率を算出すると、両者の比率はかなり似通っている。③ただし、正規職員の最下位の等級の労働者の賃金と、パート・アルバイト職員の賃金は、職務評価点よりも著しく低い。以上をまとめると、組織内において、正社員については、役職や等級別にみると、職務内容の高低と賃金額の間には一定程度均衡がとれていることがわかった。一般に日本型処遇制度においては、正社員について、処遇と職務内容が切り離されて運用されるといった柔軟性の観点から議論されることが多いが、本稿の分析結果をみれば、同一職種内では、職務の価値に応じた賃金支払いをすでにある程度実現させていると思われる。このような、すでに適用されている組織内の公平性の基準を、いわゆる外部労働市場の賃金水準に強く影響されるといわれるパートタイム労働者等にまで、どのように広げていくかが問われている。

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