原子力及び食品安全管理に関する市民評価 : スウェーデンを事例として

書誌事項

タイトル別名
  • Public evaluation of nuclear power and food safety management : A case study of Sweden
  • ゲンシリョク オヨビ ショクヒン アンゼン カンリ ニ カンスル シミン ヒョウカ : スウェーデン オ ジレイ ト シテ

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抄録

本稿では,スウェーデンを事例として,原子力政策と食料安全管理を市民がどのように評価しているのか,考察した。スウェーデンでは,食品内の放射性物質を含めて,農業や食料,消費の安全性に関してはスウェーデン食糧庁が管理していた。スウェーデン人は,異常気象の兆候を強く意識しており,原発政策が何度も変更し,バルト海が汚染していると感じていた。他方,スウェーデン人は,チェルノブイリ事故の際,食品の安全性や産地については,あまり確認していなかった。スウェーデンにおいて,再生可能エネルギーは,子どもがいるから,汚染地域だからという理由で,購入するわけではない。そして,原発を推進する者は原発のデメリットを,脱原発を推進しない者は,原発のメリットを知りながら,それぞれを推進していた。放射性物質に気を付ける者が多い食品は,東アジアから輸入される魚介類やキノコ類等であった。またチェルノブイリの汚染地域に居住する者や同事故を記憶する高齢者はトナカイ肉や野菜等に気をつけて食べていた。放射性物質に関する関心は男性より女性の方が高いが,食品の安全性を確認していたのは男性であった。また,子どもを持つ親は,放射性物質の安全性を確認していた。更に,同事故後,高齢者は農畜産物の産地や,放射性物質の安全認証を確認していた。そして,放射性物質の規制値を下回る食品は,放射性物質に関心が高い女性の支払意志額が高かった。

収録刊行物

  • 開発学研究

    開発学研究 29 (2), 10-26, 2018-12

    藤沢 : 日本国際地域開発学会

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