茶園の摘採面上に設置した乾式粘着トラップ(SEトラップ)に捕獲される土着天敵群集,特に寄生蜂類(ハチ目)の多様性

書誌事項

タイトル別名
  • Diversity of natural enemies, especially parasitoids, captured by insect sticky traps in tea fields
  • サエン ノ ツミトリメン ジョウ ニ セッチ シタ カンシキ ネンチャク トラップ(SE トラップ)ニ ホカク サレル ドチャク テンテキ グンシュウ,トクニ キセイバチルイ(ハチモク)ノ タヨウセイ

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説明

茶園に生息する土着天敵群集,特に寄生蜂類の多様性と発生実態を明らかにするため,静岡県の現地茶園3地区計6圃場(各地区でIPM区と慣行防除区を設置)において茶樹の摘採面上にSEトラップ(サンケイ化学製)を設置し,トラップに捕獲された天敵昆虫(成虫)の種類と数を調べた。その結果,牧之原市の圃場では,16または13科の寄生蜂類,タマバエ科,ヤドリバエ科,ヒラタアブ亜科,および3種のテントウムシ科昆虫が,掛川市の圃場では15または16科の寄生蜂類,ヒラタアブ亜科などのハエ目天敵昆虫,および6種のテントウムシが,菊川市の圃場では12または11科の寄生蜂類,ハエ目天敵昆虫,および3種のテントウムシが確認された。本調査で確認された寄生蜂類の総科数は18科,テントウムシ科は計8種であった。寄生蜂類では,チビトビコバチやサルメンツヤコバチなどクワシロカイガラムシの天敵とチャトゲコナジラミの天敵シルベストリコバチ,ヒメバチ科,アブラバチ亜科の捕獲数が多かった。IPM区と慣行区とを比較すると,チビトビコバチやサルメンツヤコバチではIPM区の捕獲数が慣行区より多い場合が見られたが,ほとんどの天敵では処理区間の差は認められなかった。同時に調査した樹冠内部に設置した黄色粘着トラップとの比較では,ナナセツトビコバチ,ノミコバチ科,ヒメバチ科はSEトラップの方が黄色粘着トラップよりも粘着面単位面積当たりの捕獲数は多く,これらの天敵に対する捕獲効率は勝った。SEトラップによる主な寄生蜂類の発生消長パターンは,黄色粘着トラップのそれと類似した。ヒラタアブ亜科は,4~5月,6~7月と9~10月のチャの新芽生育期に捕獲され,特に秋の捕獲ピークが大きかった。

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