最終講義 学校における教育・学習を支える集団・コミュニティの問題--教育と教育学の転換期

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タイトル別名
  • Community support for learning in school education: the transition from modern education and education studies
  • サイシュウ コウギ ガッコウ ニ オケル キョウイク ガクシュウ オ ササエル シュウダン コミュニティ ノ モンダイ キョウイク ト キョウイクガク ノ テンカンキ
  • Community support for learning in school education: the transition from modern education and education studies

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抄録

40018789591

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私たちの学習とは、私たちが所属し・所属しようとしている社会集団あるいはコミュニティへの参加過程である。私たちはその社会集団に所属し、そこの一員として認められ、生きていくために、その集団の文化を身につける。前近代社会においては、家族、地域、身分・階層、職業などの集団への参加・所属過程とその集団の文化の学習過程とが、明瞭に、不可分に融合していた。近代学校教育制度は子どもたちをそこから分離し、新に人間社会や国家社会の一員となるための教育・学習の過程を用意した。しかし、社会集団への参加過程としての教育・学習という視点からすると、かなり非現実的であったと言っていい。そして実は、近代学校はそれ自体の、孤立し、独立した教育・学習過程ではなく、前近代以来の教育システムの並存に支えられて一体となって、はじめて学習過程を進行させることができたのである。しかし1960年代を境として、前近代的教育システム、すなわち具体的現実的コミュニティへの参加過程としての教育システムは消滅してしまった。その結果、学校教育は支えを失い、孤立し、教育・学習過程成立の伝統的基盤を失ってしまった。現代学校教育の困難の根底はここにある。教育・学習過程を成立可能にするためには、子ども・青年の社会集団・コミュニティへの参加・所属の過程を、新しい形でつくり出さなければならない。子どもはそれを求め、必要としている。それはどこに、どのようにして可能なのだろうか。

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