無菌培養によるサギソウ増殖法の試み

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タイトル別名
  • Propagation of Habenaria radiata (Orchidaceae) using in vitro culture system
  • ムキン バイヨウ ニ ヨル サギソウ ゾウショクホウ ノ ココロミ

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抄録

サギソウはシラサギが翼を広げた姿に似た花弁をもつ野生ランの一種であり,近年,生息地である湿地の減少や乱獲などが原因で絶滅の危機に瀕している。貴重な遺伝資源保護のためには,高い増殖効率が期待される種子からの培養が有効である。本研究では無菌培養による増殖法を検討するため,定義した生育ステージをもとに種子成長や球根の内部構造を観察するとともに,スクロース濃度による球根形成への影響や定植後の球根の成長について調査した。その結果,胚は播種後1ヶ月以内に仮根と第1葉を生じて成長し,約200日後に培地内に球根を形成した。球根の形成数は3.5%スクロース培地より2%の培地で多かった。培地内の球根は,土で栽培した球根と同様に芽や中心柱が確認され,培土への定植によって発芽し開花することが分かった。本研究結果から,サギソウは無菌培養により種子からの増殖が可能で,遺伝資源の保全技術として有用であることが示唆された。

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