私刑としての社会的制裁が損害賠償額の決定に及ぼす影響 : 判断者のミクロ不公正感および感情に着目して

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of social sanctions as lynch on the judgment of damages : Focusing on micro-unfairness and emotions
  • シケイ ト シテ ノ シャカイテキ セイサイ ガ ソンガイ バイショウガク ノ ケッテイ ニ オヨボス エイキョウ : ハンダンシャ ノ ミクロ フコウセイカン オヨビ カンジョウ ニ チャクモク シテ

この論文をさがす

説明

本研究では,社会的逸脱行為者に対する罰(損害賠償額)の判断に無関係な他者による社会的制裁と感情,ミクロ不公正感(自分の日常に対する不公正感)が及ぼす影響を検討した。分析の結果,社会的制裁と罰の判断には相補性がみられた。また,社会的制裁はシャーデンフロイデ高め,シャーデンフロイデを強く喚起した場合には罰が軽く判断された。さらに,ミクロ不公正感が強い者は,社会的逸脱行為者に対して重い罰を判断する傾向にあった。その一方で,ミクロ不公正感が高い者は,社会的制裁が与えられたこと(罰を受ける者に訪れた不幸)を知った場合にはシャーデンフロイデを喚起しやすいことから,その喜びの感情によって罰を軽く判断しやすい傾向があることも明らかになった。以上のことから,社会的逸脱行為者に起こった不幸(社会的制裁)による減刑(社会的制裁と罰の重さの相補性)の背景については,与えられるべき罰が一部与えられたという観点に加え,社会的制裁が実行されることによって罰の判断者の感情が影響を受けることが要因であることが示唆された。

収録刊行物

  • 研究紀要

    研究紀要 (21), 1-10, 2020-03

    関西国際大学

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ