書かれる悪女と書く悪女 : ーJane Austenの“Lesley Castle" とLady Susanを中心にー
Bibliographic Information
- Other Title
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- カカレル アクジョ ト カク アクジョ : ーJane Austen ノ “Lesley Castle " ト Lady Susan オ チュウシン ニー
- The Written Wicked Woman and the Writing Wicked Woman : Focusing on Jane Austen's “Lesley Castle" and Lady Susan
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18世紀後半は書簡体小説の全盛期であり、Jane Austenが10代のころに執筆した習作にも書簡体小説は散見される。本稿では、書簡体で書かれたAustenの作品のうち、特に“Lesley Castle"とLady Susanに焦点を当てる。どちらの作品にも、当時の社会が女性に期待した妻や母としての立場や務めを放棄して、自らの欲望に忠実に行動する、いわゆる悪女が登場する。悪女の存在は、手紙の中で遠慮なく批判できる格好の標的としても、また身勝手な自己主張を展開する手紙の書き手としても、書簡体との親和性は高いと言える。“Lesley Castle"のLouisaとLady Susanの同名のヒロインは、経済的に不安がある点、刺激的な恋愛を追求する点、子育てを放棄している点など共通する要素も多いが、自らが仕掛けた男性をめぐる様々な計略を率直に手紙に書き示す悪女だという点でLady Susanは突出している。彼女は腹心の友であるAlicia Johnsonとの間で頻繁に文通することで、女性同士の緊密なネットワークを築いている。本稿では書簡体小説の中で示される悪女の扱われ方や文通のあり方について考察しつつ、手紙と女性の関係性--とりわけ文通で明らかになる女性同士の友情について探っていく。その中で、Austenが女性間の連携や友情について様々に模索したものの、女性間のネットワークの基盤は脆弱なものでしかないとの結論に達したことを明らかにする。
Journal
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- 関東学院大学人文科学研究所報
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関東学院大学人文科学研究所報 43 15-32, 2020-02
関東学院大学人文科学研究所
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050003824829219968
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- NII Book ID
- AN00048004
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- ISSN
- 03867919
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB