超伝導マグネットスペクトロメータを用いた宇宙粒子線観測 : BESS 国際共同気球実験 (1)/測定器及び気球飛翔実験

書誌事項

タイトル別名
  • チョウデンドウ マグネット スペクトロメータ オ モチイタ ウチュウ リュウシ
  • Balloom-Brone Experiment with a Superconducting Magnetic Rigidity Spectrometer (BESS)-(1) / BESS Spectrometer and Balloon Flights

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抄録

超伝導マグネット・スペクトロメーターを用いた宇宙粒子線観測・気球実験(Balloon Borne Experiment with a Superconducting Magnetic Rigidity Spectrometer)は,宇宙起源反粒子探索及び宇宙粒子線の精密観測を目的とする日米・国際共同実験として推進されている[1-7]。NASAおよび宇宙科学研究所を相互の代表機関とし,東京大学,高エネルギー物理学研究所,神戸大学,ニューメキシコ州立大学が研究に参加している。日本側グループがスペクトロメーター本体を準備し,アメリカ側グループが気球の飛翔,制御を担当している。この実験計画は,1980年代にNASAを中心に検討されたASTROMAG計画の準備研究に於て,ソレノイド型超伝導マグネット・スペクトロメーターの構想を提案し,基礎開発を行なった事から,その第一段階となる気球実験としてスタートした[8-9]。この実験協力が1987年にスタートして以来6年の準備期間を経て,1993年に第一回の気球飛翔実験に成功した。1994年には第二回,1995年には第三回・気球飛翔実験に成功した。実験は,北磁極に近いカナダ北部のマニトバ州リンレークからアルバーター州ピースリバーにかけて実施され,合計約50時間の科学観測に成功し,実験機器も無事回収されている。これまでにBESS93の気球飛翔実験についてデータ解析を完了し,運動エネルギー500MeV以下の運動エネルギー領域で,反陽子を4イベント検出した[10-12]。この結果は,低エネルギー領域(<500MeV)での初めての明確な宇宙線反陽子の観測として評価を受けている。BESS93∿95の総合的なデータ解析からは,途中経過として,運動エネルギー<1.2GeVに於て,合計∿50イベントの反陽子候補を検出している。また反ヘリウムの探索については,1993年∿1995年のデータを合わせ,従来の観測よりも一桁高い感度での存在上限値(反ヘリウム/ヘリウム比=8×10^<-6>,@95%CL)を得ている[13-15]。実験は,結果が現われ始めた段階であるが,経過と現状を報告する。

Balloon-borne Experiment using a superconducting magnetic rigidity spectromeer is being carried out as a NASA-ISAS cooperative project. The spectrometer features to have a large geometrical acceptance of 0.4 m^2str based on a concept of transparent solenoidal magnet and horizontally cylindrical layout of the spectrometer, and it may realize a highly sensitive search for cosmic ray antiparticle search. This paper describes the spectrometer and progress of the balloon-borne spectrometer as the part (1).

資料番号: SA0167073000

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