ミクロフィラリアの定期出現性に関する実験的研究

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  • ミクロフィラリア ノ テイキ シュツゲンセイ ニ カンスル ジッケンテキ ケンキュウ
  • Experimental Studies on the Periodicity of Microfilariae.

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抄録

1).ミクロフィラリアの末梢血内出現の経過を表わすには面積比によるのが合理的である.2).バンクロフト仔虫の末梢血内出現の時間的分布は24時~2時を頂点とした正規分布を示す性格のものと判断される.3).バンクロフト仔虫の昼間出現はきわめて少く,その率は個人により略一定である.4).実験操作による影響の判定には面積比曲線を用い,全体としての曲線のズレ,昼夜間出現数の割合の変動を参考とし,Dirofilaria immitisの場合はその逆転を一応の目標としたい.未感染犬12頭にDirofilaria immitis成虫の移植実験を行い10頭に成功した.新らしく移植された宿主に於ても仔虫分娩をくりかえし,仔虫は供給犬と同じ週期性を示す.又スパトニン100~200mg/kg 1週間の投与では成虫に対する殺虫作用は勿論,母虫の分娩能にも影響はなく,新らしく分娩された仔虫の週期性にも影響がないことを知つた.成虫の移植は今後仔虫の定期出現と宿主の関係を追求する一つの手段として有意義と考える.1.長期間にわたる労働と睡眠の昼夜転換を行うとDiroflilaria immitis仔虫,バンクロフト糸状虫仔虫の定期出現性に重大な影響を及ぼし,その逆転も可能である.2.バンクロフト糸状虫仔虫保有者を長期間に亘り太陽光線から隔離すると,少数の仔虫の昼間出現が現われるが,その影響は前者には及ばない.3.ミクロフィラリアの定期出現性の成立には生活習慣からくる生理作用の日差変動と密接な関係があると想像される.

There are various theories, including LANE'S theory of cyclic parturition, to explain the mechanism of the periodicity of microfilariae. We cannot say yet, however, that the question has been satisfactorily answered. But it is very probable that the micro

長崎大学風土病紀要 1(3), p.252-277, 1959

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