世界のフードセキュリティの展開とシフトする穀物等の国際市場構造

書誌事項

タイトル別名
  • The global food security development and global grains and oilseeds market shifting to an emerging structure
  • シンポジウム 世界のフードセキュリティの展開とシフトする穀物等の国際市場構造
  • シンポジウム セカイ ノ フードセキュリティ ノ テンカイ ト シフト スル コクモツ トウ ノ コクサイ シジョウ コウゾウ

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抄録

2007-2008年における資源・穀物等の価格高騰を機に,再度,国際的に注目された「食料安全保障」は,農業・農村・食料等の国際会議や主要国首脳会議等において,しばしば議論されている。「食料安全保障」については,国際的に包括的な考え方はあるものの,各国の政策担当者や研究者にとって,議論の余地があり,輸出国や輸入国等の立場から課題が提起されている。日本語の「食料安全保障」と英語による「フードセキュリティ」の完全な互換性には違和感があるとの見方があり,本稿では「食料安全保障」ではなく,「フードセキュリティ」を対象とした。また,本稿でフードセキュリティの概念が,第2次世界大戦終結前から国際会議等の場でどのように議論され,現在までに定義されたのか,経緯を紐解き,最近では新たに,「栄養」がフードセキュリティと併記され,気候変動の影響や栄養不良人口の推移,SDGsへの対応等の議論について言及した。また,2000年代から2010年代にかけて,穀物等の国際価格が高値圏にあった要因の一つである新興国の台頭と国際市場の構造的変化について,穀物および大豆に注目して検討を行った。各国・地域は,新興国にシフトしつつある市場構造を背景に,多様化する各国・地域の食料巡る環境の中で,国際的なフードセキュリティの議論に積極的に参加・協力しつつ,それぞれに議論を進めてフードセキュリティを定義していくことが必要である。

収録刊行物

  • 開発学研究

    開発学研究 30 (2), 7-19, 2019-12

    藤沢 : 日本国際地域開発学会

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