株主主導の新ステークホルダー主義 : ESG・SDGs時代のコーポレートガバナンス
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- 田村, 俊夫
- 一橋大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Shareholder-driven Stakeholder Capitalism: Corporate Governance in the Age of ESG and SDGs
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抄録
・近年、アクティビスト・ヘッジファンドの台頭や、機関投資家によるエンゲージメントの積極化など、株主の経営に対する影響力が顕著に増大している。他方で昨年来、欧米では、「企業経営の目的は株主価値の最大化である」という理念に対する大きな揺り戻しが起こっている。2019年8月にはビジネス・ラウンドテーブルが「株主至上主義」を否定する声明を発表し、2020年1月のダボス会議では、「ダボス・マニフェスト2020」に集約されるステークホルダー主義が中心的な議題となった。・ビジネス・ラウンドテーブル声明は、顧客、従業員、サプライヤー、コミュニティを重視する旧来型のステークホルダー主義への回帰的な側面が強いが、ダボス・マニフェスト2020では、ステークホルダー概念がESGやSDGsの観点も包含して拡張されている。さらに、ESG投資の急速なメインストリーム化にみられるように、機関投資家によるモニタリングが従来の株主価値向上の枠を超えて活発化しつつある。・本稿では、この2つの特徴をあわせて「株主主導による新ステークホルダー主義」と呼び、なぜそのような地殻変動が生じているのかを、コーポレートガバナンスの「目的軸」(会社経営の目的は、株主価値の最大化か、すべてのステークホルダーの利益の最大化か)と「手段軸」(会社経営に関する最終的な意思決定は誰が行うべきか)を念頭に置きながら、理論的・歴史的に考察する。・目的軸として地球環境や社会問題までも包含したステークホルダー利益が重視され、手段軸として株主(機関投資家)が重視される「株主主導の新ステークホルダー主義」は、旧来型のステークホルダー主義とは、アカウンタビリティの面でも質的にまったく異なる。なにがステークホルダー全体の利益にかなうかの最終的な判断者が、旧来型の経営者・取締役会から株主(機関投資家)に移行しつつある。その機関投資家は、最終受益者のエージェントとして、地球環境や社会問題を含むステークホルダーの利益を重視することが、長期的な最終受益者(究極の株主)の利益にかなうと理解し始めている。そして、機関投資家自身も最終受益者のエージェントとして、その判断の是非が社会からモニタリングされる度合いが強まっていくであろう。
収録刊行物
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- 資本市場リサーチ
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資本市場リサーチ 56 134-183, 2020-07
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050006065579197696
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- NII論文ID
- 120006876304
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- NII書誌ID
- AA1285312X
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- HANDLE
- 10086/31316
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles