M&A: Lessons Learned: How to Raise the Odds for M&A Success
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- Tamura, Toshio
- 一橋大学
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- Other Title
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- M&A: Lessons Learned : M&Aの勝率を高めるためのパースペクティブ
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Abstract
・ 日本企業によるM&Aは活発化してきているが、大型クロスボーダー買収案件の失敗事例等も数多く報道されている。M&Aは、経営目的達成のための手段(道具)のひとつであり、設備投資やR&D投資などと同じ投資活動である。投資活動はリスクを取ってリターンを求めるものであるから、結果的に成功も失敗もあり得るのは当然であるが、投資活動の手段としてのM&Aが設備投資などと比べて失敗確率が高いものである必然性は、本来ないはずである。・ もし、日本企業のM&Aに失敗が多いのだとすれば、それはM&Aという「道具」の扱いに不慣れなため、「不必要な」失敗をしているからだと考えられる。M&Aの失敗原因には、大別して(1)戦略自体に問題があった場合と、(2)やり方に問題があった場合があるが、このうちM&Aという「道具」についての習熟性に関係するのは、後者の「やり方の問題」である。・ M&Aのやり方に習熟しても、絶対にM&Aに失敗しないということにはならないが、M&Aのやり方に習熟することにより、不必要な失敗を未然に防ぎ、失敗の確率や失敗したときのダメージを大幅に引き下げることはできる。本稿では、企業が不必要な失敗を避けるためのM&Aの「やり方の問題」について、過去のM&A事例から抽出された教訓を踏まえて論じてみたい。第Ⅱ章では、戦略策定段階の教訓を、第Ⅲ章では、実行段階の教訓を、第Ⅳ章では組織能力の教訓を論じる。・ 日本企業のクロスボーダーM&Aで最も注意すべき点は、支払ったプレミアムに見合うシナジーを本当に実現できるのかということである。そのためにはまず根源的な問いとして、自社は買収先の企業価値を高められるか、言い換えれば買収先企業のキャッシュフローを増やせるか、自社は買収先企業のベストオーナーないしベターオーナーなのかということを、買収検討の出発点に据えなければならない。そしてシナジー実現のためのケイパビリティや自社のプラットフォーム、人材能力についても、冷静に見極めなければならない。単に国内市場が少子高齢化で成長が見込めず、手元にキャッシュがあるからという理由で、海外の成長地域の企業や高収益企業を高いプレミアムを払って買収するという戦略では、概してうまくいかないだろう。
Journal
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- 資本市場リサーチ
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資本市場リサーチ 44 87-123, 2017-07
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050006065579206016
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- NII Article ID
- 120006926922
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- NII Book ID
- AA1285312X
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- HANDLE
- 10086/31008
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- journal article
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