アイヌ語沙流方言の助動詞「a」の用法について : 中国語の「過」から見たタクシス機能

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書誌事項

タイトル別名
  • A Function of Auxiliary verb a in Saru Dialect of Ainu : Taxis function compared with the Chinese guo
  • アイヌゴ サル ホウゲン ノ ジョ ドウシ 「 a 」 ノ ヨウホウ ニ ツイテ : チュウゴクゴ ノ 「 カ 」 カラ ミタ タクシス キノウ

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説明

アイヌ語の助動詞「a」は主に文のレベルにおける現象に基づいて、「過去・完了」を表現するアスペクト助動詞として説明されてきた(金田一1931、知里1974[1936]、佐藤2008 など)。文レベルのアスペクト形式がテキストレベルにおいてタクシス(taxis)機能を果たすという事実はすでに日本語の研究や中国語の研究でも明らかになっているが、アイヌ語に関する諸研究においては、管見の限りでは、示唆されたことはあるが、詳細に関する研究はまだなされていないと言ってよいと思われる。本稿は文レベルを超えて、テキストレベルで中国語の「過」の視点から、アイヌ語の「a」のタクシス機能の解明を試みるものである。アイヌ語の現地調査は話者の減少により、現在極めて困難な状況になっている。故に、本稿で使用するアイヌ語のデータは筆者が自ら調査したものではなく、すべて公開されているものである。基本的に本稿で使用するアイヌ語のデータは早稲田大学語学教育研究所、『アイヌ語音声資料1-12』(田村1984-2000)に限定した(沙流方言)が、適宜他の沙流方言資料のデータも参考にしてある。なお、『アイヌ語音声資料1-12』の中にはいくつかの異なるジャンルのテキストが含まれているので、その点については以下、必要に応じて言及することにする。また、言語的に沙流方言に近いとされる千歳方言の研究成果も注意しつつ考察に利用する。

収録刊行物

  • 北方人文研究

    北方人文研究 14 71-84, 2021-03-25

    北海道大学大学院文学研究院北方研究教育センター

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