<論説>「第二のソフィスト」にみる過去と現在 --アイリオス・アリステイデスの事例から--

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Past and Present in the Second Sophistic: In the Case of Aelius Aristides
  • 「第二のソフィスト」にみる過去と現在 : アイリオス・アリステイデスの事例から
  • 「 ダイニ ノ ソフィスト 」 ニ ミル カコ ト ゲンザイ : アイリオス ・ アリステイデス ノ ジレイ カラ

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説明

本稿は、紀元2世紀のローマ帝国下に生きたギリシア人弁論家アイリオス・アリステイデスを事例に、当時盛んに語られた古典期(前5-前4世紀)の過去がどのように描かれ、また、現実社会とどのような関係を有するのかに迫ることで、いわゆる「第二のソフィスト」と呼ばれる知識人層たちによる活動の性格を改めて考察するものである。過去を語る行為自体に焦点を当てた結果、テクストで語られた過去の分析を掘り下げてこなかった先行研究に対して、本稿は、人々の調和に関するアリステイデスによる2 篇の政治弁論を題材に、弁論に描かれる過去と現在の関係を体系的に検討した。その結果、弁論家にとって古典期の過去は、ただ礼賛すべきものではなく、競合し乗り越えるべきものとして描出されていることが明らかとなった。また、弁論家個人としても、過去の著述家に対抗しようとする意識が看取され、この点で、過去を指向する「第二のソフィスト」の活動に関しては、単なる陶酔や現実逃避というよりは、ギリシア知識人としての競争意識が根底にあったと結論づけられる。

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