村松剛とアフリカ : アルジェリアと南アフリカを中心に

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  • ムラマツ タケシ ト アフリカ : アルジェリア ト ミナミアフリカ オ チュウシン ニ
  • Takeshi Muramatsu and Africa : With a focus on Algeria and South Africa

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抄録

1962 年、アルジェリア戦争を取材した村松剛(1929 - 96)は、フランス政府の植民地主義を批判し、フランスからの独立を目指す抵抗組織FLN(アルジェリア民族解放戦線)を支持した。だが、1991 年、南アフリカを訪問した村松は、南アフリカ政府を支持し、抵抗組織ANC(アフリカ民族会議)をテロリストとして批判した。FLNもANCも、ともにソヴィエト連邦から援助を受けた抵抗組織だった。それゆえ、村松の評価変更の背後には、共産主義と植民地主義という「二つの悪魔」(ダレス国務長官)のどちらを選ぶかという判断に変更があったと考えざるを得ない。その要因はいくつも考えることができるが、考察の範囲をアフリカに限定すれば、強い期待を寄せた新生アルジェリアを1965 年に再訪し、社会主義国家となった同国の現実に深い幻滅を覚えた体験が考えられる。帝国主義の時代に西欧諸国によって分割されたアフリカは、村松にとって、国際政治を考える上で反共産主義の重要性を認識することになる重要な地域だったのである。

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